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 真っ当に頑張る人が真っ当に評価される社会に
 会報aile64号(2008年11月号)

株式会社インサイト 関原深さん


関原深さん
株式会社インサイト

マーケティング・統計解析を専門とし、全社戦略・事業戦略・新規事業の立案及び実行を支援。 前職では 多種多様な業界・業態の大手企業から中堅・中小、国内外のベンチャー企業まで幅広くサポート。 現在も、ビジネスセクターでのコンサルティングを実施しながら、その経験を、社会事業や障害者就労へ展開・移転すべく、ソーシャルアントレプレナー、コミュニティビジネス、福祉施設(授産事業)向けのコンサルティングやセミナーを実施。現場に飛び込んで顧客と共に作り込むスタイルを信条とする。(社)日本マーケティング協会マイスター、(特)edge常務理事をはじめ、多数の役職を兼務。


事業概要
株式会社インサイト
〒550-0003 大阪市西区京町堀1-8-31 安田ビル2F 204号室
Tel:06-6449-5115
Fax:06-6449-5115
E-mail:fukashis@insweb.jp
URL:http://www.insweb.jp/index.html
事業理念 笑顔をつくる仕事をしよう!
事業内容 社会課題を解決するビジネスの創出・支援、企業のCSR事業(NPOや社会起業家との協働事業)・CSR戦略立案支援、企業の新規事業・ベンチャー支援

真っ当に頑張る人が真っ当に評価される社会に

「インサイト(Insight)」。 直訳すれば、「洞察」「観察力で物事を見抜くこと」であり、マーケティングの世界では「意識として顕在化していないが、そこを突かれると心が動くようなポイントを突き止めること」、「生活者自身も自覚していなかったような購買行動の理由などを探り出すこと」を表す言葉として使われている。  その言葉を社名に持つ株式会社インサイトは、2007年9月に産声を上げた。社会事業支援、CSR戦略立案、新規事業・ベンチャー支援を3つの柱にしながら、“笑顔をつくる仕事づくり”に取り組むコンサルティング会社だ。

人を笑顔にするテーマパークをつくりたい!

代表取締役の関原深さんは、大学院修了後、三和総合研究所(のち、合併により、UFJ総合研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)に入社。

「大学では、工学部にいたというよりはアメフト部にいたというほうが正確なんやけど(笑)。当時、漠然と世の中みんな元気ないよなぁ、と思ってたんです。それで、みんなが笑顔になれるような“テーマパーク”みたいなのがあったら、もう少し楽しくなるんちゃうかと思って、“テーマパーク構想”を何となく掲げてたんです。大学院の研究室も、そのために必要となるプロジェクトマネジメントを学べるところ、っていう観点で選びました」。

そんなテーマパーク構想を実現するには、都市計画などに関わるのが近道かな…。そう漠然と思い、就職活動ではシンクタンク部門を志望。が、適性テストで外向性が極めて高かったことからコンサルティング部門を薦められ、「そっちの方が現場に近い仕事やな」と鞍替えして入社。クライアント企業の戦略策定、マーケティング、新規事業の立上げなどに次々と関わり、忙しくハードではありながらも、仕事はとても充実していたという。「お客さんの現場に飛び込んで、一緒につくりあげていく感じが好きだった」。ただ、一方で、コンサルタントとしての成果を挙げ、お客さんからの信頼を得るようになっていけばいくほど、コンサルタントとしての役割に寂しさも感じるようになっていった。

「もっと金銭的な投資なども含めて、お客さんと一緒に挑戦をしたいとは思ってましたね。いわゆる計画や戦略面での支援だけでなく、実業の部分に関わっていきたかった。ただ、組織の中では、できることに限界はありました」。

仕事からも、周りの環境からも学んだことは多く、何か不満があったわけではない。が、本当にやりたいと思うことをやるには、いつかは起業もありかな…、そんな想いが関原さんの中に少しずつ育まれていった。

工賃5,000円!?…ほんなアホな!

そんな関原さんの転機のひとつとなったのが、仕事の中で、福祉施設(授産事業)の就労支援関係の研究にかかわったときのこと。 授産事業とは、一般企業に勤めることが困難な人達のために『働く場』を提供しながら、自立にむけた生活力・経済力を身につけることを目的としたもの。だが、どんなに一生懸命働いても、一ヶ月の工賃(給料)が数千円から数万円というのが実態だった。

「なんでやねん?これっておかしいんちゃうの?って、思いました。障がいを持つ方たちは、作業を丁寧にすることが多いから、できた商品の品質としては、一般市場に出しても遜色ないものも多いのに、販売の仕組みがない。ただ、支援者もかなりしんどい状況で、その仕組みづくりをする時間すら取れへんのもよーわかる。構造的に変われへんし、ずっとこのままやんかと」。

もちろん授産事業といってもいろいろあるから、全部が全部評価される必要はないけれど、いいものを作っているのに「障がい者だから、授産事業だから」と評価されないのはおかしいのではないか。そんなごく真っ当で素朴な疑問が関原さんの中に生まれた。

社会起業家のタマゴたちとの出会い

一方、その頃社会の中で、社会起業家・社会事業といった言葉が聞かれるようになってきた。

「社会事業というのは、価値観の多様化を背景に、これからめっちゃ出てくるようになる、という直感はありました」。

そんな中で、関原さんは新聞記事がきっかけで、かつての高校の同級生が、大阪で社会起業家支援のプロジェクトを行っていることを知る。edge実行委員会実行委員長(当時)だった田村太郎さんだ。edge実行委員会は、社会起業家を支援する組織として、実際に動き出せる事業家を輩出するインキュベーション機能の提供を目的として、ビジネスプラン・ブラッシュアップ・コンペを行っていた。早速連絡をとり、仕事の休みを利用してedgeの実行委員として関わることとなった。

edgeの特徴は、完成形としてのビジネスプランを競い合うのではなく、コンペの期間を通じて、メンターと呼ばれる担当の実行委員からの支援を通して、応募者の成長を促すしくみになっている点だ。応募者に寄り添いながら、時に厳しく突っ込み、時に温かく励ますedgeのスタイルは、関原さんがそれまで培ってきたコンサルティングの経験を存分に発揮できると同時に、社会をよくしたい!という若者たちの潜在的なエネルギーに直接触れ合うことのできる場所だった。関原さんは現在も実行委員として、そして今年からNPO法人となったedgeの常務理事として関わり続けている。

そんないくつものきっかけが重なって、2007年9月に起業。しかし、そこに気負いはない。起業して大変だったことは?という問いに対しても、「うーん、なんやろなぁ…?」と笑う。
 「自らを律するという点では、今のほうが大変かな、とは思います。でも、ほんまありがたいことに、あちこちから声をかけていただいて、ええ感じで仕事させてもろてます」とのこと。

ビジネスと想いの橋渡しを目指して

関原さんは、自らの立ち位置をビジネスセクターに置くことにはこだわり続けている。

「経営やマネジメントについては、ソーシャルビジネス・コミュニティビジネスよりも、一般企業のほうが進んでいる部分がたくさんあります。その優れた点を、想いはあるけれど手法がわからないということで困っている所にうまいこと橋渡ししていくことが自分の役目かな、と」。

「福祉の事業所で働いてる人たちを見ても、自分たちの作った商品が売れたら、やっぱ単純に嬉しいんですよ。感情の表現方法は人それぞれですけど、売れたことが励みになって前向きになっていくことは確かなんです。今は、障がい者の方がつくったということを前面に出さずに、商品の品質だけで一般市場で勝負できる普通の販売チャネルをつくっていきたいと考えてます」。

福祉業界で、市場からの評価を商品に反映させていくための仕組みや、そのための生産管理・在庫管理といった経営機能強化へどう繋げていくか。それも支援のレベルを下げずに。そこには、働いている人との個別具体的なコミュニケーションも含まれる。

「大変だし、課題もたくさんあるやろうけど、こういう具体的なことがやりたくて起業したんだから、苦には全然ならないです。って言いながら全然できてへんけど(笑)」。

インタビューの中で語られる関原さんの言葉は、どこまでも現実的で具体的だ。自らをドラマティックに語ることもなく、他者からの評価に執着することもない。ただ、真っ当かそうでないかには敏感に反応しながら、ひとつひとつの出会いと仕事に、丁寧に、誠実に向き合っているだけだ。そこに、トトロにも似た風貌と、ガネーシャ(*)風の関西弁がかもし出す雰囲気が加わり、えもいわれぬ安心感と信頼感が生まれるのだろう。

−「放下」−。「ほうげ」と読めば、仏教用語で一切の執着を捨て去ること。「ほうか」と読めば、品玉(しなだま)・輪鼓(りゅうご)などの曲芸や手品を演じる大道芸。  かつて関原さんが描いた「人を笑顔にするテーマパーク」は、ある意味、非日常の空間づくりだった。今、それは「笑顔をつくる仕事づくり」に姿を変え、社会と人の心を深く見つめながら、人々の日常を支えはじめている。そして、日常を支えるのは、あくまでも黒子的なプロデューサーなのだ。

関原さんが歩んでいるのは、放下の道なのかもしれない。


(*)「夢をかなえるゾウ」に出てくるゾウの姿をした関西弁の神様

取材・文/久野美奈子 写真/河内裕子(写真工房ゆう)

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